コラム

ブロー成形の成形不良はなぜ起きるのか

ブロー成形技術は、大量生産を実現することができ、現代の製造業において欠かせない技術となっています。一方で、その製造過程で起こる成形不良の原因と解決策は一般にはあまり知られていません。今回コラムでは、ブロー成形の基礎から成形不良が生じる理由、そしてそれを解決する方法について詳しく解説します。

1.ブロー成形金型を用いた成形方法

ブロー成形は、主にボトルや容器などの中空製品を製造するための成形方法の一つです。ブロー成形にはいくつかの種類がありますが、基本的な原理は、樹脂を予め成形したプリフォーム(予備成形体)やチューブ状の素材(パリソン)を金型内に配置し、その中に圧気を送り込むことで金型に沿って拡張させます。その後、金型が冷却されると、金型内部の樹脂が固化され、製品として取り出されます。

2.ブロー成形金型でよくあるトラブルとその解決方法

ブロー成形金型で起きるトラブルは様々ですが、代表的なトラブルとその解決方法を3つご紹介します。

(1)金型から取り出す際の形崩れ

トラブル

ブロー成形においても成形品を金型から取り出す際に製品の形が崩れてしまうことがあります。その原因は様々ですが、大きな原因として考えられるのが「表面の粗さ」と「表面の傷」です。

金型表面の粗さとは、表面に設計されている微小な凹凸のことを指します。この凹凸が大きすぎたり、均一でなかったりすると金型と成形品の接触面積が大きくなります。これにより、摩擦が大きくなり、取り出す際に形が崩れることがあります。また、金型表面に傷がついている場合も同様の理由で成形品の形崩れが起きてしまいます。

解決方法

摩擦を最小限に抑える表面処理

金型を製作する際、金型の表面処理を行います。表面の粗さを調節したり、傷が付きにくくなる処理を施すなど、様々な工法を駆使して成形品や製造工程に沿った最適な表面処理を行うことが重要です。

(2)バリ残り

トラブル

樹脂を成形する際、金型の合わせ面の隙間に溶融樹脂が流れ込み、そのまま固化してしいバリ残りとなってしまうことがあります。こちらのトラブルも原因は様々ですが、食い切り刃のあたりが悪かったり、食い切り刃がダレていること(位置ずれ、食い切り刃の変形、割れなど)が考えられます。

食い切り刃のあたりが悪かったり、ダレていると、固化した成形部とバリを切り離すことができず、バリが残ってしまいます。バリが残ってしまうと品質が低下してしまい、製品として販売できなくなってしまいます。

解決方法

食い切り刃の調整

食い切り刃を調整することでこのトラブルを解決することができます。研磨、溶接などで食い切り刃の位置を調整したり、ダレを修復したりすることで、しっかりと樹脂を切り離すことができ、バリ残りを防ぐことができるようになります。

また、食い切り刃は使用していくうちにダレてしまうものです。定期的にメンテナンスすることもバリ残りの対策に繋がります。

(3)成形サイクルの遅延と形状不良

トラブル

成形を行っていると、「狙い通りの形が取れない」「成形サイクルが乱れてきた」と感じたことがあるのではないでしょうか。このトラブルの原因となるのが「冷却不足」です。

樹脂の金型成形は溶融樹脂を金型内部で形づけ、それを冷却することで成形します。その際、冷却が不足していると狙い通りの成形品が取れなかったり、狙い通りの成形品を取ろうとしてサイクルタイムが長くなってしまったりします。

解決方法

冷却回路の洗浄

冷却回路を洗浄することで、安定したサイクルタイムを保ちながら、狙い通りの形をとることができます。冷却水を流していると、水中に含まれるカルシウムやバクテリアといったスケールが回路の中に詰まってしまいます。定期的にメンテナンスを実施し、スケールをのぞくことが重要です。さらに、製作段階で清掃しやすい設計にすることも重要です。

3.ブロー成形の設計・製造、修理・メンテナンスもお任せください

ブロー成形のプロとして、当社はお客様のニーズに応じた最適な製品の設計・製造から、修理メンテナンスまでをトータルでサポートいたします。不良が生じた場合でも、迅速かつ適切な対応でお客様の生産性向上をサポートいたします。