【完全解説】金型メンテナンス・オーバーホールの重要性
金型のメンテナンスとは
金型は、長期間使用することで劣化や摩耗が進行し、そのまま使用を続けると製品の不良率が増加したり、生産効率が低下する原因となります。そのため、定期的なメンテナンスが不可欠です。金型のメンテナンスとは、表面の傷や部品の劣化、寸法の狂いなどを確認し、必要に応じて修理や調整を行う作業を指します。
金型のメンテナンスを怠ると、製品品質が不安定になるだけでなく、重大な故障を引き起こし、金型自体の寿命を縮める可能性もあります。適切なメンテナンスを実施することで、金型の寿命を延ばし、生産の歩留まりを維持することができます。
金型のオーバーホールとは
オーバーホールとは、金型の全体的な点検・修理作業のことで、メンテナンスよりも大規模な作業を指します。金型を完全に分解し、各部品を検査・修理・交換することにより、新品同様の性能を取り戻すことが目的です。特に、長期間使用した金型や製品不良が頻発している金型は、オーバーホールが必要です。
オーバーホールを行うことで、金型の寿命を大幅に延ばすことができ、さらなる生産効率の向上が期待できます。一般的なメンテナンスが部分的な修理にとどまるのに対し、オーバーホールは金型のリフレッシュに近い作業です。
メンテナンス・オーバーホールの基準とその重要性
メンテナンスやオーバーホールが必要となるタイミングや基準は、金型の状態によって異なりますが、定期的な点検は不可欠です。金型の表面に発生する小さな傷や摩耗、部品の劣化などが目立つ場合、まずはメンテナンスが必要です。しかし、製品の不良が続いたり、金型のトラブルが頻発する場合には、オーバーホールを検討するべきです。
定期的なメンテナンスやオーバーホールは、金型の寿命を延ばすためだけでなく、生産ライン全体の効率向上にもつながります。製品不良を減らし、安定した生産を維持するためにも、これらの作業は欠かせません。適切なタイミングでの実施が、コスト削減にも貢献します。
メンテナンス・オーバーホールの方法と手順
金型のメンテナンスやオーバーホールの作業手順は、以下のように進められます。
1. ヒアリングによる状態確認
お客様からの情報を基に、金型がどのような問題を抱えているのか、製品不良やトラブルの内容を確認します。
2. 測定による状態確認
ヒアリングで得た情報をもとに、金型の寸法や摩耗状態を測定機器を使って確認します。
3. 目視による外観検査
測定結果を踏まえて、金型の外観を目視で検査します。この際、刃の状態を感圧紙などを使用して確認し、必要に応じて喰いきり刃の調整を行います。
4. 水路の状態確認
冷却水が流れる水路の状態も確認します。水路が詰まっている場合、金型の温度管理に影響し、生産に悪影響を及ぼすため、この工程は非常に重要です。
5. 部品の交換・表面処理
消耗品の交換が必要な場合、オーリングやガイドピン・ブッシュ、組付けボルトなどの部品を交換します。また、金型表面に発生したサビや腐食部分を掃除し、必要に応じて表面処理を施します。オーバーホールでは、これらの作業が全面的に行われます。
6. 改善確認とお渡し
メンテナンスやオーバーホール後、金型の状態が改善されたかどうかを検査し、測定を行います。最終的な確認が完了した後、金型をお客様にお渡しします。
通常のメンテナンスに加え、オーバーホールでは、より徹底したクリーニングや修理が行われ、金型全体がリフレッシュされます。
基本的なメンテナンスの+αがオーバーホール
基本的なメンテナンスは、金型の定期的な検査や軽微な修理を行う作業ですが、これにプラスαの要素が加わったものがオーバーホールです。オーバーホールでは、金型全体を分解し、徹底的な点検と修理、そして清掃を行うため、金型を新品同様の状態に近づけることができます。
お客様の要望に合わせて対応します
オーバーホールの内容は、お客様の要望に応じて調整が可能です。例えば、金型の一部に傷や欠けが見られる場合、必要な箇所のみを部分的に分解して修理することができます。しかし、全体的なクリーニングや深刻な摩耗の修復が求められる場合には、金型全体を分解し、隅々までクリーニングを行うオーバーホールが必要です。
このように、オーバーホールはメンテナンスに比べて広範囲の修理と点検を含み、金型の長期的な性能維持や不具合の再発防止に非常に効果的な手段です。お客様の金型に合わせて柔軟に対応いたします。
5. 当社の金型メンテナンス・オーバーホールの実績を紹介
当社は、創業以来数多くの金型の製作・修理・メンテナンスを手掛けてきました。特に、他社では対応できないとされた難しい金型修理にも積極的に取り組んでおり、数多くの成功事例があります。
①金型洗浄で冷却効果改善
自動車業界のお客様より、冷却水の流れが悪くなってきたため、冷却効果の低下を改善したいとのご相談をいただきました。実際に自動車業界の冷却水の管理状態はあまり良くなく、過去にも同じようなご相談をいただいています。
そこで当社では、無償にて金型洗浄のデモを行い、効果検証をさせていただきました。金型洗浄により冷却効果の改善に効果があることが分かり、全ての金型の洗浄を実施いたしました。
当社開発の金型洗浄装置「アラッタくん」を使用し洗浄を行い、冷却効果の向上を実現でき、成形サイクルタイムを1割~2割削減することができました。当社では、出張洗浄も行っており、約2〜3時間で洗浄を完了しています。自動車業界のお客様には洗浄装置をご購入も頂いていますので、是非一度当社にご相談ください。
②レーザー溶接での金型入れ子ひび割れ修理
こちらの事例は、金型ゲート入れ子の圧力がかかる部品の修理をした事例になります。
ゲート入れ子にひび割れが入っており、製品の生産にも影響が出ている状態でした。このひび割れは、レーザー溶接にて修理を行いました。当社のレーザー溶接の技術は、高精度なため、どんなひびでも、修理対応可能です。
金型くん!メンテ改造ラボを運営する扶桑精工株式会社では、金型設計・製作だけではなく、金型の修理・メンテナンスまで行っております。ひび・傷・欠け・など、金型の修理・メンテナンス先をお探しでしたら、まずは当社へご相談ください。
6. 金型のメンテナンス・オーバーホールは当社にお任せ
当社は、1947年の創業以来、長年にわたり金型の製作・修理・メンテナンスに携わってきました。その豊富な経験と技術力を基に、アルミや銅など、さまざまな金属に対応可能な溶接技術を誇ります。大型の金型も含め、幅広い修理・メンテナンスに対応できるため、他社では対応できないとされた金型修理もお任せください。
また、修理だけでなく、金型の製作からオーバーホールまで、一貫して対応できる体制を整えております。金型の生産性を向上させ、長く使用できるよう最適なメンテナンス・オーバーホールをご提供します。金型の修理・メンテナンスでお困りの際は、ぜひ当社にご相談ください。