金型へのガスベント追加により、成形不良を根本解決。歩留まりの向上とメンテナンス長期化を実現
お客様の課題:生産効率の低下
インジェクション金型で成形した製品の生産効率が低下していました。定期的な分解清掃を行っていたにもかかわらず、ガス汚れの蓄積による成形不良が頻発。その原因は、金型に設けられたエアベント(ガス抜き)の量が絶対的に不足していることでした。これにより、メンテナンスの間隔が短くなり、歩留まりも悪化していました。
技術的背景:ガスベントの役割とガス焼けのメカニズム
射出成形において、金型内に高温の溶融樹脂を高速で充填する際、キャビティ内に元々存在した空気や、樹脂自体から発生するガスが圧縮されます。この圧縮されたガスを効率的に金型外へ排出するのが「ガスベント」の役割です。
ガスベントが不足していたり、詰まっていたりすると、行き場を失ったガスが断熱圧縮され、数百度の高温になります。この高温ガスによって樹脂が燃焼・炭化し、製品表面に黒や茶色の変色(焦げ)が生じます。これが「ガス焼け」と呼ばれる成形不良です。ガス焼けは外観不良だけでなく、製品の強度低下にも繋がります。
扶桑精工の提案:最適な位置へのガスベント追加工

扶桑精工は、お客様立ち会いのもとで金型を分解し、樹脂の流動解析と長年の経験に基づき、ガスが溜まりやすい流動末端や袋小路部にガスベントを追加する改造を提案しました。ベントの追加は、単に数を増やすだけでなく、ガスの発生量や流れを予測し、最も効果的な位置とサイズで設置することが重要です。この精密な追加工により、キャビティ内のガスをスムーズに排出できる流路を確保しました。
ガスベントの追加により、ガス焼けなどの成形不良は解消され、金型成形の歩留まりが大幅に向上しました。これにより、生産効率が改善されただけでなく、ガス汚れが蓄積しにくくなったことで、金型のメンテナンス間隔を延長することにも成功しました。
扶桑精工は、海外製金型や図面のない古い金型であっても、その構造を的確に診断し、生産性向上に直結する最適な改造提案を行います。