経年摩耗した金型ガスベントの再生による品質回復
お客様の課題:散発的に成形不良が発生

お客様より、インジェクション金型のガス抜けが年々悪くなってきており、成形不良が起きることがあるというご相談がありました。金型は長期間の使用により、接触面の腐食や、圧縮・摩耗により、ベント溝が浅くなったり、溝がなくなったりすることがあります。この結果、成形品表面の気泡や異形状など、不良が起きやすくなります。
技術的背景:ガスベントの経年劣化とその影響
ガスベントは、金型のパーティングライン(PL面)や入れ子の合わせ面に設けられた、深さ数μm~数十μmの非常に浅い溝です。この微細な隙間が、空気やガスは通し、溶融樹脂は通さないという重要な役割を果たします。
しかし、金型は数万~数百万ショットという過酷な開閉と型締め圧力を繰り返し受けるため、パーティングラインは徐々に圧縮され、摩耗していきます。この経年劣化により、設計時に設けられたベント溝が潰れて浅くなったり、完全になくなってしまったりします。その結果、ガス排出能力が低下し、ガス焼けやショートショット、ウェルドラインの目立ちといった様々な成形不良を引き起こす原因となります。
扶桑精工の提案:精密加工によるガスベントの入れ直し
扶桑精工は、この問題の根本原因がガスベントの経年摩耗であると診断し、ベント溝を再加工する「入れ直し」を提案しました。
この作業では、まず摩耗したパーティングラインの平面度を精密研削盤で回復させます。その後、製品形状や使用樹脂の特性を再評価し、最適な深さと幅を持つベント溝を、放電加工や微細切削加工を用いて正確に再形成します。これにより、金型が新品だった頃のガス排出性能を回復、あるいはそれ以上に向上させることが可能になります。
ベントの入れ直しを実施した結果、インジェクション金型のガス抜けは劇的に改善され、気泡や形状不良といった成形不良が一掃されました。これにより、製品品質が安定し、不良品の廃棄コストが削減されました。
扶桑精工は、長年の技術とノウハウを活かし、金型の状態を的確に診断し、生産効率向上に繋がる最適な修理・メンテナンスを提案します。他社製品や海外製の金型にも対応可能です。