技術提案事例

バリ発生を根本対策。溶接肉盛りにより金型当たり面を溶接にて修復し、成形品の品質を改善

お客様の課題:成形品にバリが常時発生

インジェクション金型のパーティングライン(PL面、金型の合わせ面)が摩耗し、成形品に「バリ」が恒常的に発生していました。バリの発生は、製品の外観品質を損なうだけでなく、後工程でのバリ取り作業が必要となり、コスト増と生産性低下の要因となっていました。

技術的背景:パーティングライン摩耗とバリ発生のメカニズム

パーティングラインは、金型が開閉するたびに接触し、射出時には高い型締め圧力がかかるため、金型の中でも特に摩耗しやすい部分です。長期間の使用によりこの合わせ面が摩耗すると、μm単位の微小な隙間が生じます。

射出工程で高圧の溶融樹脂がキャビティに充填される際、この隙間に樹脂が侵入して固化し、「バリ」となります。特に、流動性の高い樹脂を使用する場合や、射出圧力が高い場合には、わずかな隙間でもバリが発生しやすくなります。この問題を放置すると、摩耗はさらに進行し、バリは大きくなり続けます。

扶桑精工の提案:摩耗度に応じた最適な当たり面修復ソリューション

扶桑精工は、摩耗したパーティングラインの状態を精密に測定・診断し、最適な修復方法を提案しました。今回の事例では、摩耗の範囲と深さが大きかったため、レーザー溶接による精密な肉盛り修復を選択しました。

この方法は、摩耗した部分にのみピンポイントで金属を盛り、熱影響を最小限に抑えながら元の形状に復元することができます。その後、高精度な平面研削盤で表面を仕上げ、新品同様の平面度と密着性を回復させました。

扶桑精工では、摩耗の程度に応じて、溶接以外にも、硬質クロムメッキによる表面硬化や、摩耗部分を切り取って新しい部品を埋め込む「別入子」の追加など、コストと要求品質に応じた多様な修復メニューを提案可能です。

溶接によるパーティングラインの修復により、金型の密着性が回復し、バリの発生が完全に抑制されました。これにより、製品品質が向上し、後工程のバリ取り作業が不要になったことで、トータルコストの削減と生産性の向上に大きく貢献しました。

扶桑精工は、金型の状態を的確に見極め、最適な修復方法を提案することで、お客様の品質課題を根本から解決します。